「彼のオートバイ彼女の島」

 「彼女の島」は原作では白石島だが映画では尾道の岩子島が舞台となる。映画でロケされた小学校は、今はもう廃校となり、存在しない。僕はその古い木造の校舎が建て壊される少し前に幸運にも訪ねることが出来た。その時記念写 真を撮っておかなかったことが未だに悔やまれる。
 映画は初め、1時間50分前後の作品として完成した。しかし併映作との上映時間の関係から角川プロデューサーの要請により、短縮され1時間30分の形で公開された。それ以来大林監督は角川映画を撮っていない。(「REX」の監督依頼も断られたらしい。)しかし本作はそのような不幸な背景を微塵にも感じさせない。流れるようなカメラワーク、テンポのいい鮮やかな編集。1時間30分という時間はこの、B級映画の心意気で撮られた作品に最もふさわしい長さであった様に想われる。
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「野ゆき山ゆき海べゆき」

 本作は東京では、白黒版と、総天然色版がそれぞれ1館ずつ公開された。大阪では総天然色のみ、1館だけ2週間上映された。僕はこの時岡山から新幹線で大阪まで出向き観ている。ビデオ化されたのも総天然色版であり、白黒版は、東京と、地方に於けるいくつかの映画祭でのみ観ることが出来たわけだ。元々白黒を意図して創られただけに、カラー版にはどうしても違和感を覚える。和服を着た子供達がアスファルトの道を歩いて登校するのも奇妙だし、全体にテンポが非日常的にゆっくりしていて、二時間十数分という上映時間は正直少し辛いものがある。TV版では子供達の喧嘩や追いかけの場面 で早回しの映像となり、人物の動きが戯画化され、テンポもよくなり劇場版よりかえってよかった気がする。総天然色版は映画のクライマックスで突然白黒になるのだが、すると断然画面 が引き締まってくるから不思議だ。是非白黒オリジナル版を観たいと想う。
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「おかしなふたり」

 僕は「おかしなふたり」を幸運にも尾道映画祭に於ける処女上映で観た。その場には監督も、今は亡き薩谷美術監督も、主演の三浦友和さんも居られた。鞆の浦へロケ見物にいき、竹内力さんや南果 歩さんと一緒に写真を撮ってもらったこともあった。映画の上映後外に出ると、そこには映画と同じ尾道の海があった。
 映画の中で、南果歩の1分50秒にも及ぶクローズアップのカットがある。朝焼けに包まれて、独りぼっちで目に涙を浮かべながら彼女は淡く微笑む。その微笑みは永遠の時を刻む。…しかし時の流れは残酷である。あれから約10年の年月が過ぎていった。尾道も変わり、大林映画から去っていった人たちも少なからずいる。「時をかける少女」の深町君ならこう云うだろうか。「時間というものは過ぎ去っていくのではない。それはやって来るものなんだ。」
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「麗猫伝説」

 入江たか子・若葉母娘のために企画された、TV放送用作品ながら、まるで個人映画のようないとおしい作品。本作に関して入江たか子という映画女優のたどった悲劇的な、しかし誇り高い生涯を抜きには語れない。それについてはTV「驚きももの木20世紀」の入江たか子篇が見事にまとめ上げていた。僕はそのドキュメンタリーを観ながら、たか子さんの生き方のあまりの美しさに泣いた。
 ちなみにこの映画で僕の最も愛す場面は、まだ可憐な少女であった風吹ジュンが麦藁帽をかぶり兼吉の丘を自転車に乗って駆け抜けていったあの情景である。風吹ジュンさんが大林映画に戻ってきてくれて本当によかった。東京でのOBsパーティーで実物にお会いできたけど、さすがにとっても綺麗で嬉しかった。
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大林宣彦ファンクラブOBs Club広島支部