「大林映画に纏わる17の冒険」
(広島支部 Ad./OB950267)

冒 険
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「モダン・タイムズ」

 本作LD副音声に収録された故・荻 昌弘氏と大林監督の対談はおもしろい。この映画の社会批判のメッセージは映画製作上のEXCUSEで、真にチャップリンが描きたかったのはポーレット・ゴダードの野性的な魅力であった、という監督の仮説で、本作の新たな魅力を再発見することになるだろう。


「ジェニーの肖像」

 幻想映画の傑作中の傑作。出会う度に通常の時の流れの枠を飛び越え成長していく少女と主人公の孤独な愛の物語。大林監督の本作に対する感想を是非お聞きしたいと想う。山田太一が本作を基に小説「飛ぶ夢をしばらく見ない」を書いている。


「怒涛の果て」

 ジョン・ウェインが創った生涯唯一のロマンティックな映画(と本人自身が語っている)。本作と映画「絶海の嵐」への大林監督の想いは、著書「ムービー・ランドの子守歌」に詳しく記述されている。そして「おかしなふたり」に於ける潜水服姿の竹内 力は本作のジョン・ウェインそっくりである。ヒロインであるゲイル・ラッセルの美しさと云ったら絶品。


「静かなる男」

 嘗てE.T.がそのラブシーンを驚嘆の眼差しで観ていた、あの映画である。そのクライマックスは、一人の女性を巡って男二人が野山を駆け回り延々と繰り広げる殴り合いである。もちろん最後には、和解が待っている。この映画と良く似た場面 が、「おかしなふたり」に登場する。以前ある雑誌で大林監督が担当していた質問コーナーにこの事を訊ねたところ、監督はこの場面 に、ジョン・ウェインへの熱い想いを込めたのだと教えて下さった。また「あした」にも、同様の場面 が再現されている。(ちなみに監督は僕の問いに「この人はなかなか鋭いですね。」と云ってくださった。へへへ…。)


「血とバラ」

 16mm「いつか見たドラキュラ」がこの作品のオマージュとして創られたことは余りにも有名。耽美的吸血鬼映画。いつか是非、商業映画として、このような大林映画が見たい。桂 千穂、赤川次郎など本作の熱心な支持者は多い。


「執炎」

 本作をこよなく愛すが故に、この脚本を書いた山田信夫さんを、大林監督は「野ゆき山ゆき海べゆき」で起用した。「いつか見たドラキュラ」や「青春デンデケデケデケ」で、傘が風に舞い、落ちてゆくイメージが登場するが、その起源はこの「執炎」にある。


「けんかえれじい」
 鈴木清順監督の傑作群の一本で、清順映画の中でも最も叙情的側面 を持つ作品(何とピアノまで登場する!)。無邪気な喧嘩がエスカレートし、大人の喧嘩=戦争へとなだれ込む。「野ゆき山ゆき海べゆき」を想い出す人は僕だけではあるまい。大林監督はかつて某映画雑誌にペンネームで清順映画の批評を投稿し、掲載されたという過去を持つ。


「恋のエチュード」

 「おかしなふたり」を撮影中、監督の胸に去来した映画は、本作や、ゴダールの「軽蔑」であったと著書の中に記述されている。ふたりの姉妹を愛したひとりの男の物語。丁度同じトリュフォー監督の「突然炎の如く」の男女関係と表裏一体となる作品。有名なのは「突然…」の方でだが、真のトリュフォー・ファンは、断然「恋のエチュード」を支持するはずだ。


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